生きている意味が、分からなかった。

 

どうして、今此処に、貴方は居ないのだろう。

 

私だけが、何故生きているのだろう。

 

頭の中に浮かぶのは、そんな考えばかりで。

 

 

(…苦しい、よ……)

 

 

寂しかった。

 

ずっと一緒に暮らしていた父様が、もう何処にも居ないという事が。

 

 

(……ごめんね、父様…っ)

 

 

私を庇ったから。

 

私なんかを、庇ったから。

 

本当の娘じゃない、私を、父様は。

 

 

「父様・・・っ!

 

 

溢れてくるのは、キラキラと輝く涙。

 

止まらなくて、止められない。

 

深い悲しみは、私の心を蝕む。

 

総司さんと一緒に生きていけて、幸せだと感じていたのに。

 

当たり前のように傍に居てくれた父様が居ないのが、酷く寂しい。

 

 

「ごめ、なさ・・・っ」

 

 

謝っても謝りきれない。

 

父様は、私と共に暮らせて、幸せだったのだろうか?

 

一瞬でも、幸せだと思った事があったのだろうか?

 

私は今、最愛の人と一緒に居られて、とても幸せだと感じる。

 

父様は、そんな幸せを、私と暮らしていた中で感じてくれていたのだろうか?

 

 

「千鶴」

 

 

声が聞こえた。

 

襖から顔を覗かせたのは、愛しい貴方。

 

 

「…また、泣いてるの?

 

 

声を聞くだけで狂おしいほど愛しく思える。

 

私の体は自然と動いて、貴方にすがりついていた。

 

 

「……お父さんの事で、泣いてたんだね」

 

 

優しい口付けが振ってくる。

 

私の寂しさを埋めてくれる。

 

けれども、涙だけは止まらなくて。

 

 

「…きっと」

 

 

総司さんは呟いた。

 

 

「君の心に、綱道さんは……」

 

 

生き続けているよ。

 

 

「だから、どうか泣かないで」

 

 

ぎゅう、と抱きしめられて顔が熱くなる。

 

私はこの人が、死にそうなくらいに好きなんだと、改めて実感した。

 

優しい父様は、大切な人を見つけた私を、祝福してくれるだろうか。

 

 

「父様…」

 

 

優しかった、穏やかだった、あの頃の父様の笑顔が浮かんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思い出の中に綺麗な魔法を望み続けた

 

 

 

 

 

 

 

私の叫びは、少しでも父様に届いたのだろうか。